前回このブログで基本計画特別委員会での主要議題(研究評価、研究資金制度、社会との連携)の研究評価を取り上げましたが、その最後のところと関わってくる(と私が思っている)社会との連携について思う所を書いていきます。
その前に実は第6回の委員会が10月1日に既に開催されています。
こちらにも参加しましたが、この回はもう一つ有益な情報は得られなかった気がしますので、まだ第5回の続きをします。(といって更新が遅いいい訳ですみません。)
議事録や資料がまだなかなかアップされていないので、かろうじてこの情報もその先を行っているという状況です。
また、第7回も今週末10月16日に開催され、こちらも傍聴しますので、なるべく早くお知らせするようにしたいと思います。
ということで社会との連携についてです。
9月14日のブログにも少し書きましたが、科学技術コミュニケーションの重要性は既に第3期でも取り上げられていて、今回も科学技術の内容を広く専門家以外の方にも理解してもらおうという広報型の活動は引き続き重要であろうと言うことでした。
そのための科学技術コミュニケーターの重要性も述べられていたと思います。
但し当時(第3期の検討当時)の科学技術コミュニケーションは、成果を社会に伝える翻訳者としての位置づけが強く、今回の議論は社会から科学技術へのベクトルを担う役割が主に議論されていたと思います。
野依先生もぽろっと漏らしていましたが、「科学技術コミュニケーターに方向性を御指南いただく事になると言うのは個人的にはいやですが、しかし重要な役割」だという位置づけです。
議論にも出ていましたが、このような役割は科学技術の成果を理解して翻訳する能力とはまた異なるもので、政策について理解し提言できる人材と言うことになります。
そのような人材がいるのか?というコメントも何人かから出ていましたし、確かにそんな人材は難しいだろうなと皆さんやはり思われているようでした。
委員会の議論では出ていなかったと思いますが、これは最近よく出てくる双方向性の科学技術コミュニケーションとも少し違う役回りのように思います。
双方向性という場合、研究者と一般の方との間での双方向性を取り上げていることが多いのではないでしょうか?
この点、個人的には前から気になっていたのですが、研究者と一般の方の双方向性だけではちょっと足らない(双方向性自身もまだ全く確立できていませんが)のではないかということがあります。
コミュニケーションの目的の一つとして、一般の方に研究の現状や意義、おもしろさなどを理解していただいた上で、世の中の意志も織り込んで研究環境や研究システムを良くしようと言うことがあるとしたら、それを実現するための政策立案段階に一般の方の考えを反映できる(そのままではありませんが)ことが必要になると思います。
しかし研究者と一般の方との双方向のコミュニケーションを通じて、研究者が理解してそれを実行する、あるいは政策立案に研究者が主体となって取り組むことが出来れば良いのですが、純粋に研究に集中しようとすればするほど、政策立案といったことを強く意識することは実際上難しく、なかなか出来ないのが現実でしょう。
そのために研究者と一般の方との双方向コミュニケーションを担う人材には、更に、両者と政策立案者との間のコミュニケーションをとれる能力が求められてくるのだと思います。
研究者と政策立案者の間をつなぐ役割というのは実はPOの役割に当たると考えられます。
POの仕事というと課題の管理という事で、普通決まったプログラムについて進捗を管理するものと思われがちですが、米国のPO(の一部)や日本のPOの位置づけの説明にプログラム方針の見直しというカテゴリがあります。
その中には担当プログラムとは別に新規のプログラムの設計・立案などが含まれています。
この設計・立案の過程では、現状の科学技術の俯瞰から今後の方向性の把握といった研究者の素養が求められ、かつ、政策的観点からの絞り込みといった能力が求められます。
この政策的観点というところは、主に社会ニーズの把握に当たり、ここに一般の方(企業や各種団体なども含みます)と政策立案者とのコミュニケーションを取り持つ能力が実は必要となってくることになります。
それらをふまえていろいろと科学技術コミュニケーターと議論をしたことがあるのですが、私自身は双方向性というのは単純化しすぎで、循環型あるいはネットワーク型と捉えて、科学技術コミュニケーションを議論すべきだと考えています。
そこには一人の人材ではおそらく対応できない広がりがあり、それぞれの役割を担える人材育成が必要となってくるでしょう。
より分かりにくくなるかもしれませんが、例としては、
研究者→(成果、コミュニケーター1)→一般の方→(コミュニケーター2)→官僚→(政策、コミュニケーター3)→研究者
といった基本的な流れがあるのではないかと思います。
もちろん、
研究者→(成果、コミュニケーター1)→官僚
や
一般の方→(コミュニケーター2)→研究者
といったものも入ってきます、だからネットワーク型。
更に、研究者→(コミュニケーター4)→研究者も必要な気がします。
本来行政は、一般の方→(コミュニケーター2)→官僚が確立しているべきですが、日本にはその仕組みがあまりないように思います。
研究者→官僚→(政策)→研究者の関係が強く、もっとオープンな仕組みを作らなければ、新しい大発見や世界的な状況の変化などに対応してダイナミックにシステムを適応させていくことができないでしょう。
そのためにも様々な場面でのコミュニケーションを媒介できるいろいろなタイプの科学技術コミュニケーターが重要で、その育成方策と行ったものを検討していったほしいと思っています。
まためちゃめちゃ長くて分かりにくい文章になってしまいました。
次回はもう少し間隔を短く書き込みたいと思います。